被扶養者の認定基準
被扶養者とは
被保険者の収入で生計を立てている一定の範囲の扶養家族についても「被扶養者」として健康保険の給付を受けることができます。ただし、健康保険の被扶養者には家族なら誰でも入れるものではなく、法律などで決まっている一定の条件を満たし、健保組合の「認定」を受けることが必要です。健康保険の扶養家族は会社の扶養手当や税法上の扶養家族とは基準がまったく異なります。
なお、75歳以上の方(65歳以上で障害認定を受けている方を含む)は、後期高齢者医療制度の被保険者となるため、被扶養者の対象外となります。
被扶養者の認定の原則
被扶養者の認定は、認定対象者の収入と生活の実態、申請するに至った事情、被保険者に経済的扶養能力があるか、被保険者により継続的に主として生計を維持されている(=被保険者がその家族の生活費をほとんど援助しなければならない状態)かなどを総合的かつ厳正に審査したうえで、被扶養者に該当するかどうかを判断します。
認定条件(原則)
- その家族は健康保険法に定める被扶養者の範囲であること。
- 優先扶養義務者に扶養能力がなく、被保険者がその家族を扶養せざるを得ない理由があること。
※優先扶養義務者とは、その家族の「配偶者」、その家族が母の場合は「父」、兄弟姉妹・祖父母の場合は「両親」など。 - 被保険者はその家族を継続的に主として扶養している事実があること。(=その家族の生活費のほとんどを主として負担していること。)
- 被保険者には継続的にその家族を養う経済的扶養能力があること。
- その家族の年収は被保険者の年収の1/2未満であること。
- その家族の収入は月額108,334円未満(60歳以上または障害年金受給者は月額150,000円未満)であること。また1年を通じての収入は、年収130万円未満(60歳以上または障害年金受給者は年収180万円未満)であること。
- 夫婦がともに働いていて子どもを扶養する場合は、夫婦双方の収入や生計費の実態、社会通念等を総合的に判断して行うこと。
- 日本国内に住所を有する者であること。(一部例外については、健保へお問い合わせください。)
※上記以外にも状況によっては条件があります。
被扶養者の範囲
被扶養者の範囲は法律で決められていて、被保険者と同居でなくてもよい人と、同居であることが条件の人がいます。(同居とは、住居および家計を同一にすることをいいます)
被扶養者の範囲
(1)被保険者と同居していても別居していてもよい人(下表の緑枠の人) |
配偶者(内縁関係も可)、子・孫、兄・姉、弟・妹、父母・祖父母などの被保険者の直系尊属 |
(2)被保険者と同居していることが条件になる人 |
(1)以外の3親等内の親族、被保険者の配偶者(内縁関係も可)の父母・連れ子、 配偶者(内縁関係も可)死亡後の父母・連れ子 |
被扶養者の範囲図
※数字は親等数を表わします。
被扶養者の収入の範囲
被扶養者になろうとする人の年収は、各種収入を合計したもので、利子や年金などすべての収入が対象となります。
種 類 | 例 |
---|---|
給与収入 | 通勤交通費等の非課税収入及び賞与を含む |
事業収入 | 自営業収入(商業・工業・農業・漁業・林業等)・学習塾等の指導料・生保損保代理業等 |
各種年金収入 | 厚生年金・国民年金・公務員等の共済年金・農業者年金・船員年金・石炭鉱業年金・議員年金・労働者災害補償年金・企業年金・各種の恩給・遺族年金・障害年金・私的年金等 |
利子収入 | 預貯金・債券等の利子等 |
配当収入 | 株式配当金・決算剰余配当金等 |
不動産収入 | 土地・家屋・駐車場等の賃貸収入等 |
公的保険からの給付 | 健康保険の傷病手当金、出産手当金・雇用保険の失業等給付・労働者災害補償保険の休業(補償)給付等 |
その他継続性のある収入 | 名義貸料・譲渡収入等 |
被扶養者の収入限度額
収入限度額(厚生労働省通達に基づく)
被扶養者の年齢 | 収入限度額 |
---|---|
60歳未満 | 月額108,344円未満 (年収換算で130万円未満) |
60歳以上75歳未満 (または59歳以下の障害厚生年金の受給用件該当者) |
月額150,000円未満 (年収換算で180万円未満) |
※上記の収入限度額は、暦年(1月~12月)の総収入ではなく、申請以後1年間の年収見込を示す基準額となります。
年間収入算出のイメージ
直近3ヶ月の収入から、申請以後1年間の年収見込み額を推測します。
給与収入(パート・アルバイトなど)
所得金額ではなく、税金控除前の総収入金額(賞与・通勤交通費等を含む)で判断します。
{(直近3ヵ月の総支給額の合計 ÷ 3) × 12ヵ月} + (賞与 × 支給回数)
パート・アルバイト等で毎月収入がある場合、年間収入よりも毎月の収入で判断する方が実態に即しているため、年額130万円を月額に換算した108,334円(60歳以上は150,000円)以上の収入がある場合は、被扶養者として認められません。
給与収入証明として給与明細書(直近3ヵ月分)で申請した際、3ヵ月の総支給額の平均が108,334円(または150,000円)以上であった場合は、収入見込額が年間130万円(または180万円)以上となり、収入限度額の基準を満たしていないと判断いたします。ただし、繁忙期等の一時的な理由により直近の収入が増加した方で、通常の勤務形態では 月々108,334円(または150,000円)未満となる場合は、申請の際に健保へご連絡ください。
また、申請後の給与明細書で月々108,334円(または150,000円)以上の収入が継続的に続く場合も収入限度額の基準を満たしていないと判断いたします。収入減少による申請の場合は、収入減少後3ヵ月分の給与で判断します。
年金受給者
介護保険料及び税金等控除前の支給金額で判断します。
直近の振込額 × 支給回数(年6回)
被保険者と別居している場合
家族と別居している場合は、認定条件として被保険者が継続的な仕送りでその家族の生活費を主として負担している事実が必要となります。該当の家族へ毎月定期的にその家族の年間収入以上の金額を仕送りしていることが必要です。
送金は、原則として毎月とし、送金額が確認できる金融機関等の振込控など客観的に証明可能な書類が必要となります。
なお、手渡しは、送金の実態が確認できないため認められません。
別居であっても仕送り証明が免除されるケース
- 単身赴任による別居
- 就学による別居
外国人及び海外滞在
外国人の家族の場合は、日本国内に居住し外国人登録をしていること、在留期間が1年以上あることが必要になります。
海外に居住している場合は原則として認定できませんが、以下のような一時的な滞在の場合は受付けます。
- 被保険者の海外勤務に帯同して海外に居住するとき
- 短期(概ね1年以内)の海外滞在
- 海外留学
- 被保険者である海外赴任者が現地で結婚した場合(配偶者及び子に限る)
被扶養者資格の見直し調査について
被扶養者に対する検認を一定の期日を決めて実施します。送金証明・給与明細等の書類は、健保組合から要求があったらいつでも提出できるように常日頃から保管しておいてください。
扶養認定日
扶養認定日は、「被扶養者(異動)届」及び必要書類一式を健保組合が受理し、扶養の事実を認めた日(原則受付日)となります。ただし、次の場合には、その日まで遡って認定します。
- 子どもの出生の場合、その出生日
※出生日より1ヵ月以上遅れて届出された場合は、遅延理由書の提出をお願いすることがあります。 - 被保険者の資格取得と同時に扶養家族を申請した場合、被保険者の資格取得日
※資格取得日より1ヵ月以上遅れて届出された場合は、遡って認定されないことがあります。 - 退職により申請した場合、退職日の翌日
※退職から2週間を経過して届出された場合は、書類の受付日が認定日となります。